●非正規の暗部描く | 風間直樹著『雇用融解』(東洋経済新報社・二〇〇七年)
は、こうした非正社員の問題を含む日本の雇用問題の暗部をえぐ りだしたルポルタージュ。とりわけ、就職にあぶれた地方出身の若 者が、請負業者によって低賃金の請負労働者として遠隔地の工場 に送り込まれ、過労死したエピソードは胸をえぐる。最も厳しい雇 用状況に置かれた人々への著者のまなざしは貴重だ。 NK2009.3.1 メアリー・C・ブリントン著『失われた場を探して』 (池村千秋訳 NTT出版 08) 日本では職場という「場」の一員になれるかどうかが、個人の経済 的な幸福を大きく左右してきたと著者はいう。しかも、高卒の就職 希望者にとっては、高校と学校の「コネ」が就職に重要な影響を与 えてきた。その意味で、やはり高校という「場」が就職で極めて重 視されてきたことになる。ところがバブル崩壊後の日本では、大学 進学率の上昇、経済のサービス化などのトレンドもあいまって、高 校生の就職市場が極度に冷え込み、学校・職場という「場」が崩壊 してしまった。若者に求められているのは、「場」に頼れない社会を 渡っていくための新しいスキルや戦略であるとされる。ハーバード 大学の高名な日本研究者が、現在の日本の高卒者が置かれ た状況を見事に描き出している。自然で流麗な翻訳で、大変読 みやすい。NK2009.3.1 |
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